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「強い日本を作る論理思考」 デービッド・アトキンソン×竹中平蔵

ビジネス社

昨年夏の出版だから僕としては異例の速さで時事に即した本を読んだことになる。
図書館で借りるわけで人気のある本は出版されてしばらくたってもかなり待つことになるだが、すぐ借りれたので人気のない本なのだろう。
アトキンソン氏と竹中平蔵氏なのでさもあらん。

目次みて違和感あったが、中見てびっくり。対談本でそれぞれの発言ごとに小見出し付けてるのはじめてだった。
というよりこれ対談してるの?って印象。もし編集でやってるなら作りこみすぎだろうと思った。著者あとがきがアトキンソン氏が主役のようなのでどちらかというとアトキンソン氏の出版物なのだろう。

読み進めて面白いのは日本人らしい竹中氏がアメリカが一番主義者でかつ、カタ仮名表記になる言葉を多用していて、アトキンソン氏が日本語で別にイギリスが一番とか言ってるのではないということ。
また実務経験的に竹中氏が小泉政権時代の実績を目いっぱいアピールしてるにもかかわらず、アトキンソン氏は評価をしている様子が全く感じられないことも行間ににじんでいたことも印象に残った。

両氏の実績は評価のわかれるところでもあるが、個人的にはアトキンソン氏がセミリタイアと中小企業の頼まれ経営者として、ポジショントークがあまり感じられないのに比較して、竹中氏は何かというとご自身の正しさをアピールする場面をよく見る人だなという印象。

竹中氏は何かと郵政民営化・金融機関の整理などを実績として持ち出すけれど、アトキンソン氏が本書の中で何か好意的に対応している印象はない。また面白いことに竹中氏の発言を受けてのアトキンソン氏の発言はかなりの割合で竹中氏の言っている内容と食い違っているように感じた。逆にアトキンソン氏の発言を受けて竹中氏の発言部分の冒頭部分はは何回もご指摘の通りとかアトキンソン氏の指摘で気が付いたのだが的な内容が多いように思う。

もしこの本が本当に対談によるものであるなら(僕はそうではないと感じている)、その場にいたらお互いに言ってることが見事にすれ違っているという印象を抱くのではないか。
竹中先生とアトキンソン氏は呼んでいるようだが、どうも出版の意図は違うところにあるような気もする。
もしそうならアトキンソン氏は大人としての対応をしかけているのに気づかず道化ている政商学者ということで面白いのだが。

どうも意見の異なる論戦でもなく、同じ危機感を持つ者同士の共有のための議論でもない気がして楽しめる内容であった。ただし本書から論理的でないデータを重視しない議論に喝というサブタイトルがなぜついたのかはよくわからない。アトキンソン氏がヘイゾー氏に言いたかったのかもしれないが。

ちなみに僕は、アトキンソン氏は中小企業淘汰などとは言っていないと持っていて、成長しない企業の社長は退けといっていると思っていて、そこは肯定的にみている。
竹中氏に関しては見事に言行一致でご自身の利益最優先で動ける稀有な才能を持っていると感じていてこざかしい才能にたけた人間として評価しています。
相手が何言ってるかとか、いろいろ考えて自分の耐性を考察するにはいい本。

☆1

アイキャッチのアトキンソン氏は東洋経済オンラインの著者紹介のものです。

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