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「日本人の勝算」デービッド・アトキンソン

相変わらずも周回遅れの読書であります。
出版が2019年なので当然COVID19前であります。というか菅政権なんてまだどこにもなかった時期、安倍政権がブイブイ言ってるころであります。

周回遅れで読むことのメリットはある程度結果が出ていることなんだけど、その後はCOVID19の蔓延と安倍政権2度目の投げ出し、仕事内閣のはずだった菅政権も終わって、実務能力と政権維持の能力は違うななど思っていたら、ロシアがウクライナ侵攻でもう未来予測みなぐたぐたの状況で、当然結果の検証なんて何にももない。そしてむしろ本書で著者が危惧していたような施策を取らざるを得ない状況が続いている。

状況がそうなので本書での分析はリアルタイムでなんも変わってない感じを受ける。
自分は、失われた30年の主たる要因は、実は団塊の世代が抱えている問題というか特徴にあるのではなかろうかとボーっと考えてた。

沢山の海外の分析を読み込んだ本書と、ぼんやり生きてる自分の考えとが不思議とマッチして面白かった。

昭和史を追っかければ、保健衛生の発達と社会的要因により人口が増加しつつあった状況で、たまたま戦地にならなかった新興国が特需の終了と気候要因で、何とかなってた人口問題が過剰になり、食い扶持を求めて大陸侵攻、同様に狙ってたアメリカの逆鱗に触れてしまって開戦。
当然のようにやられてしまったが、東西冷戦のはざまでまたもや特需で息を吹き返し、極東の橋頭保として保護うけてる間に、引揚者・ベビーブーマーの人口増加も何とか吸収、かえって人口ボーナスで大発展と思ってるんだが、失敗に学ぶことはあっても成功から学ぶことって少ない。
かの野村監督が引用した「勝ちに不思議の勝ちあり、負けの不思議の負けなし」であります。



不思議じゃなくて「俺が」になるのが普通で、まさにそれが団塊の世代だと思ってる。
いまわれわれの身の回りの問題は、団塊の世代の問題なのだが、日本にいる以上そこから逃げられない。だからボーっと考えても、あらゆる資料を読み込んでも人口変動が問題の根源なんだというのは同じになるのだ。

著者が注目されたのは観光に関する提言・著書からのようだが、本書では観光業への提言は成功事例として少しだけ触れている、控えめでよろしい。

また本書でいう中小企業経営者像は、概ね正しい。だから老舗を何とか必死で守る人がニュースになるわけで、実際のところは中小企業経営者のうち何割かは自分と家族が富貴であればいいし、残された何割かも代々の従業員が生きていけて家業が続けばいいと思ってるとは感じる。
従業員は年収かつかつでも、社長は別格というところは多い。
それがゆくゆくは自分の首絞めるなんて考えない。



勿論個々の経営者の指針はそれなりに正しいが、現在の中小企業経営者は戦中世代の血族に連なる後継者でまさに団塊もしくは団塊ジュニアであり、国としてみれば合成の誤謬という状況。



菅政権はある意味気の毒であったが、政策や仕事の内容ではなく、政権を維持するには、前任者のような血縁によるカリスマ性か、プーチンやプーさんのような恐怖による統治かがひつようだったのだ。
平和を愛する団塊世代である、仕事力では断トツでトップにされてしまったが、その任に堪える器はなかったということ。おそらく人口増加で激しい競争には慣れていても全体の指揮者として見えない道を示すってのは団塊世代は苦手なのかと思う。



最低賃金上げるってのはその意味で新しい施策・道なので、アホみたいに日銀券刷れば景気なんてパーッとよくなりますからと宣わってたプリンスみたいのがもう出てこないように、もっと若い世代の登用を考えないとだめだよな。

アトキンソン氏はいろいろ言われてるけど、本書に関しては、特に分析に関しては大変参考になりました。書評じゃなくなってしまった、反省。

☆4
2022/04/07

アイキャッチは東洋経済のオーサーページのものです。

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