写真は 公益財団法人 不動産流通推進センター の既存住宅価格査定マニュアルによる提案書の表紙。
不動産の査定は、通常取引を前提として作成するものだから、鑑定士が作成する鑑定書とは意味も重みも違う。
その案件に対する、現時点および取引成立時の市況に関しての担当者の見解、また求められる取引のスピード、あるいは担当者自身のスキルにより査定の内容はばらつきが出ることがある。
悩んでしまうのは、かなり水準と乖離した取引事例が出ている場合の考え方だ。
不動産はその特性上、代替することのできない価値が需要者から見出されることがある。
例えば、建築基準法上の接道要件を満たせない土地の所有者にとって、接道するための土地は相当高価であっても、取得後の価値の上昇、実際的に活用しうる状態になることでの利益などを前提とすれば何としても取得したい物件になるだろう。
通常と思われる水準から逸脱して安価な場合は、割と単純に理由がわかることが多い。
例としては、上記の接道義務が満たせない、未許可の擁壁やがけを背負っている、民法上の接道要件が満たせず融資が付かない、心理的瑕疵がある等々、はっきりしている場合がほとんどだ。
逆に高い場合がわからない。
周辺の取引事例や路線価などから、経験的に販売可能と思える水準からみてちょっとあり得ない価格で取引されていることがしばしばある。
現地を見て理由がわかるときもあるが、そうした合理的な理由が見当たらないのにずいぶん高い価格で取引事例があると、自分の作成している査定価格が正しいのか心配になってしまう。
勿論その乖離はせいぜい20%くらいなのだが、経験的には通常と思われる取引や公示地価・路線価などから導いた価格に対して成約価格が10%以上異なるということはほとんどない中での20%は大きい。
おそらく実務的には、査定価格から売り出し価格を設定する部分でどのように判断して、オーナーの利益の最大化を図れるかがポイントになるのだろう。
不動産サイトで一括査定依頼とかしているけれど、オーナーの事情と希望を十分にヒアリングしないで査定と売り出し価格の設定なんてできるんだろうか・・・とこんな時間にいま関与している物件のことウンウン考えながら思ってしまう。
高く売れます!なんて謳い文句は僕には言えないなぁ。せいぜい適切な価格で販売できるよう最大限の努力をするってところかな。
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