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高齢者の事

 今日、そろそろ必要かと考えていた母のデイサービスの見学に出かけた。
ありがたいことに、行政の対応はスムーズで近所の2か所を紹介してもらい、送迎していただいて雰囲気を見させて頂けた。
母は今んとこ要支援1で、どちらかというと僕が世話をしてもらっているので身体的にはさほど切迫しているわけではない。
 しかし、COVID19のあおりで出かけて友達を作っていた老人センターがほぼクローズしてしまったせいで、家に引きこもり状態となって3年近く経ってしまったせか、このところ妙に愚痴っぽくなったり、同じことを繰り返しいうようになった。
人間皆、年を重ねると直近の事より少し前のことを反復して語るようにはなるのだが、聞き手が僕一人なのであるから、いつも同じ話だとさすがにこちらが参ってくるのであります。

 訪ねてみると、二カ所の施設にはそれぞれの特徴というか特性があって、これは人それぞれだなと感じさせられた。
大人数で受け入れているところと、小規模の人数のところ、併設する施設も老人ホームと在宅型の賃貸住宅と異なっていたので、かえって参考になった。


 亡父の時は、もともとが身体障碍者であったのと、体調不良で救急搬送された入院先で脳梗塞起こして医師より「覚悟しておいてください」と言われた後「血栓がなくなったので助かりましたけどまひが残るでしょう」とその通りの経緯の後、容体がおちついあとどうするか?の選択であった。
高齢の母と仕事のある僕で、まひのあるデブの亡父を家で見る選択肢は全くなく、老健施設でのリハビリ1年から、空室のでた特養のコースで、最後はそこで亡くなった。
 

 障碍者だったこともあるが、介護保険制度に係る仕事をほんの少し(もちろん介護ではなく不動産の仕事として)かじったせいで、介護保険の手続きの段取りというか流れだけは知っていたことが、スムーズな移行に多少なりとも役には立った。
 肝心なのは、健康保険と異なり介護保険はその程度の認定が必要であり、認定を受けていなければ利用できないということであります。したがってある程度の年齢になったなら定期的に検査があって、自動的に認定されるならともかく、元気であったり「知らなかった」がゆえに認定を受けたいない場合、サービスが緊急に必要になった場合に少しの期間利用できなかったりしたりするのであります。
ある程度の年齢になったら認定は受けておくべしと思います。
 そんなことで、まだ元気ではあるものの急速に体力の衰えている母に関しては、ちょっと早いかとは思いつつ通所サービスは始めておいた方がいいかなと思った次第。

 ただでさえ、高齢者を支えるための負担は以前に比べて格段に厳しくなっていて、支払っている健康保険の(勤め人なら自分の負担と同じ額雇用側が負担してるって意識しずらいけど)かなりの割合(4割とも)が、そのために回されてる。さらに制度設計として介護保険も同じ構造になるのは目に見えていたし、そうなりつつある。


 社会保険全般に言えるのだが、現役世代のキャッシュフローに視点を置いて料率を定めて徴収するが、どちらかというと個々の資産状況は受益する立場であれ、負担する側であれあまり考慮されているとは思えない。受益する高齢者の収入によって自己負担率の差は設けられているが全体から見れば焼け石に水だろうと思う。
 終の住まいとして老人ホームより自宅が良いと思える人はそうしてあげればいいだろう。亡父の時は施設でなければもっと早く亡くなっていたかもしれないとも思うし、亡くなる数日前まで将棋を楽しむなどという生活は出来なかったと思っている。
 彼は資産はほぼ何も持っていなかった(名誉のために言えばそれでも保険と不動産で1000万円くらいは残したが)けれど、制度の中で彼が受給する年金でほぼ費用を賄って旅立った。
現時点までの問題はかなりカバーしている制度だとは思うし、関わる人の尽力には頭が下がる。まだ、きちんと制度を理解して利用できればそこそこの旅路が遅れるということではあるが、果たしてこれからどうなるのだろうか?

 今日。改めて施設を見学したら、自宅から歩いていける範囲の施設の通所サービスの利用者がたった2か所であれだけいるのだ。週に一度の人もいれば複数回の人もいるだろうが、実態はその数倍が各施設の利用者であるだろうから総数はすさまじい。
 そのうちのかなりの割合で持ち家を保有して、子供たちも別に持家があると考えると、利用されなくなる住宅がここ20年位でどんだけ出るのかと思った。子供はちっとも増えないしね。
 建物は老朽化しているケースが多いだろうから戸建てであれマンションであれ再建築の必要はあるだろうが、緩やかに生産緑地の問題どころでないような土地が市場に出てくることになる。同時に相続によりその資産を継承した場合の負担は、勤労によるものと比べれば低い気がしている。
 諸外国との比較では日本の相続税負担は大きいとも聞くが、国土の条件も異なる外国と比べても仕方あるまい。島国日本にとってよりよい制度設計を急がないと、イーロンマスクではないが日本は消滅する、そんなことまで考えさせられ、もっと真剣に考えることの必要性を強く感じさせられる有意義な見学でありました。

2022/05/25


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