不動産市況考察 2020年5月

4月のレインズマーケットウォッチが出ています。
新型コロナ(COVIT19)による行動の自粛要請がもろに響いたことがありありと出ている前代未聞のデータです。
中古マンションのレインズ登録は、エンドユーザーの買替が多いと思うのですが、新規登録もかなり落ち込んでますが、成約のグラフが見えない!ということで在庫は増加する結果となっています。

実感としても問合せそのものが極端に落ち込んだ気もしますが、不動産業者も特に大手は営業時間の短縮、完全予約制、いわゆるテレワークなどで営業も自粛していたの当然と言えば当然の結果だと思います。
エンドユーザーの場合、住み替えや資金繰りで時間の制約のある売却もありますので、価格的に引き合いが少なかった分、価格を下げてでも売り切った方もいたことがうかがえます。

詳細はレインズタワーを見ればデータありますので省略しますが、この春のシーズンは購入者がマンション・戸建てとも動けなかったことと、すでに売却で動いていて価格は下げてでも成約せざるを得ない売主側の事情で下がった範囲と感じます。
むしろ5%程度の成約単価の低下で止まったのが不思議なくらいです。

エンドユーザーのこのところの売却を決断する価格は非常に強気な水準でしたし、又それでもまとまってしまうという状態でありました。既に商用不動産は2018年にはピークを過ぎて下降気味であったのに対して、居住用の物件は新築マンションに引きずられるように高いままだったので、いつピークになるのだろう?と思っていたらコロナショックだったというところです。
今後、景気低迷による雇用不安や購買力の低下も考えられますが、実需の住宅の需要そのものに関しては購入者の家族構成変化・年齢によって絶対数そのものは一定の水準(人口減少による需要減少はあるとしても)は期待できますので商用不動産とは多少異なる動きになるものと考えています。

住宅産業から不動産流通業界に30年以上生息しているのですが、かつてない状況であることは間違いないです。
高度成長期は経験していないので実感はわかりませんが、昭和終わりから平成初めにかけて住宅の建て替え需要がメインのターゲットでしたのでちょうど昭和40年代の高度成長期に住宅を取得した層の話は聞いていました。当初ローンを組んで払えるかとても心配だったが物価も給料も上がって結果的にはかなり早く完済できた、だからいい家にしたいので建替える、という方がほとんどでした。神話のような時代の話で終身雇用、持ち家すごろくできれいに上がって退職金と年金で悠々自適確実ということが、初めての住宅取得でも可能となった方が結構いらっしゃいました。

バブル経済時は思えばそこまで給料上がってないですね。
物価は上がったといえばそうかもしれないですが資産と株価が異様に高くなっただけで、それも祭りが終わったら吹っ飛んでたと思います。

経済学は専門ではないのですが、民間の信用創造によってマネーサプライが増大していったが株と不動産に極端に集中したものであったがゆえにその信用が崩壊した時には一挙に収縮したということなのでしょう。なぜ信用創造が進んだか?は皆がそう信じたからでしょうね。

リーマンショックは、信用の崩壊が起きないようにリスクを束ねる仕組みを作って、高リスク債権であったものがあら不思議なぜか低リスクの債権といことになったのが、やっぱりリスク高かったんじゃね?といって信用が崩壊して債権で運用してた金融機関が傷んでしまったと単純に理解してます。
こちらは実は仕組みを作ったほうはリスクは承知してたとおもいます。
ベースにあったのはアメリカの人口増加に伴う旺盛な住宅需要と、人口増加の多くを占める非白人層の比較的信用の低い層への与信だったからです。
信じたものは救われないといったところでしょうか。

今回かなり様相が異なるのは、パンデミックによってほとんどの国で行動を規制することしか対策がなかく、そのためにあるべき需要がすっぽりと数か月消えたということです。航空業界は代表的ですね。我が世の春状態にあった全日空がどうしようもなくなって、CAの方々にミシンふませるという考えられない事態です。当然自動車なんか売れるはずがありません、出かけちゃいけないんだから。
外食産業もだめ、ショービジネスもあれもこれも、人は出かけないと大して物いらないということよくわかりました。
しかし相手がウィルスで集団感染獲得してリスクが下がるまではこの抑制的な生活をある程度需要せざるを得ないので、いきなり経済復活・需要増大・雇用も回復とはならないことは間違いないでしょう。

住宅・住宅用不動産は消費支出とは異なるのでステイホームするにも必須のものです。ただその賃料やローン支払いも困難だという世の中の大きな声があり、どっちも契約だから払ってほしいという大家さん・金融機関の立場がなくなりそうな勢いです。
仕方なく政府は消費支出用の特別給付や持続化給付、雇用調整助成金に加えて店舗の賃料や学生のための特別給付など、とにかく約4か月3分の1年の収入がない分を政府の借金で建替えてあげましょうということになっているのは、ご承知の通りです。

ベースマネーがバンバン出てきていて、政府債務はどんどん増えていくことになるのですが、信用創造は実はあまり置きようがないのでマネーサプライはどこまで増加するかは全く分からないです。とはいえマネーサプライの増加が首相曰く前例のない世界最大レベルで行われたときバブル期のような資産価格の高騰がおきるのでは?と思えるのです。
反面、これだけ世界中で政府債務が増加すれば債券価格が下がって金利は上昇するのではないか?とも考えられ、こと住宅不動産に関しては短期的に金利上昇は価格の上昇を抑える方向になりますので(このことは異論反論多々あると思いますし私自身も中長期的にはそうではなかろうと思ってます)果たしてどうなるなるのか、全くわからない状況になってしまっているということなのだと思います。

少なくともこれだけ取引が減少したのは主として行動の抑制が原因であり、その割には価格は低下していないと、現段階では考えています。
今後、金融機関の損失が明らかになる中間決算あるいは年度末までにどの程度経済対策が奏功するか、日本経済のポストコロナの戦略が明らかになるかによってはむしろ来年度のほうが価格下落は大きいかもしれないと予想しています。
また、米中の覇権争いと両国の政権の不安定さは国際経済に大きな影を落とす可能性が大きく、このことにも留意しておかないと、ご自身の住宅取得や不動産売却などでも、思わぬ「損」をしてしまうこともありそうです。

国内の動きが再開する6月以降の、市場の動向に注目です。
2020/05/31

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