不動産市況考察 2020年7月

市況全体のインプレッション

 7月に入り社会全体の活動を回復させるのと同時並行でCOVID19の感染者数が大幅に増加するという事態となり月末近くなって、各都道府県では再度の緊急事態宣言下のような対応がとられ始めている。
政府としては、医療体制の状態と死亡事例の推移を指標として、緊急事態とは考えないという官房長官の発言や、専門家文科会から延期の要請があったにもかかわらず前倒し実行したGOTOトラベルキャンペーンなどに見られるように、経済回復に前のめりの姿勢は崩していない。
 
国内大手企業で相次いで決算見通しの大幅な赤字転落が発表される中、月末になってアメリカのGDPが前年比30%以上の落ち込みとの発表がなされいよいよ経済的な危機が目前の雰囲気となっている。
国内におけるCOVID19による重症者・死者数を見る限り、これ以上の経済悪化が起きた場合感染症そのものの被害を上回るような人的被害が起こる可能性もあり、一概に政策判断をとらえることはできないが、世論全体としては、今しばらく抑制的な対応を行い時間を稼ぐべきと判断している印象である。

 今回の感染症に関しては未知の要素が大きく、欧米での死者数などを鑑みれば軽々に経済活動の回復を行うべきではないとの見方も首肯できるが、米中経済対立の最中に起こったことでもあり、日本経済の先行きを考慮して多少の無理をしてでも経済を回し始めるべきとの考えにも一理あると言わざるを得ない。
他方、気候変動の影響からか世界各地で水害が発生し、アフリカからアジアに向かって蝗害まで発生しており、食糧問題の懸念もあり混迷を極めた情勢となっている。

国内4-6月期のレインズレポート

7月は4-6月期の季報 首都圏不動産流通市場の動向が発表されているため、その動向により、現状と今後の見通し検討としたい。
レインズの不動産流通動向は中古の市場に関してなので、実際の物件確認に関しては、現地へユーザー自身が出かけての検討となる案件のため、緊急事態宣言による行動制限が大きく影響していることは念頭に置かなければならない。

とはいえ、すさまじい落ち込みである。
成約件数でマンション3割、戸建て2割超の前年割れはレインズ始まって以来とのこと。
不動産ならではの移動制限による機会の損失は飲食業波かもしれない。

件数は減少しているものの、中古マンション価格は平均で見るとごくわずかながら上昇、戸建ては価格も1割下落とのデータが出ており、実際の営業現場の印象から推定すると以下のような状況が考えられるかもしれない。

 ①立地の良い都心マンションは成約数は落ち込んだものの、比較的高額の物件でも成約に至ったが価格は売出価格から見て下がった。平均で見れば比較的攘夷レベルの物件も成約したため全体の価格は下がったデータになっていない。
 ②戸建ては利便性により優れたマンションとの競合で価格をかなり下げて値ごろ感の出た案件は成約したため、件数低下はマンションより少なかった。

実感として都心アクセスのよい新築分譲戸建てなどは比較的好調な販売が続いている印象がある。
中古戸建はマンション需要の一部を新築戸建てに取られて厳しかったのかもしれない。

こうしてみると、都心新築マンションの価格高騰の反動としての中古マンション志向、周辺部の利便性のよい新築分譲戸建ては、実は今のところ外出規制の影響での落ち込みを除けば堅調なのではなかったかと推定している。
中古マンション・中古戸建とも内見するには売主買主の立ち合いで、見知らぬ人との接触があるので控えられたことが主要因の落ち込みだったということだ。

今後の個人的な見通し

 政府の財政出動もあり、市中の不動産業者での資金繰りや赤字による経営悪化はまだ聞こえてこない。
不動産流通の面では件数の落ち込みは手数料収入の落ち込みであるが、流通業界自体がそうした変動に対応できる固定費の柔軟さは持っているので、仲介部門はこのような時期でもなんとかなるだろう。
 今後下期以降の各企業の業績悪化が確実なものとなり、さらにCOVID19の対策に抜本的解決の出口が見えない場合は、雇用不安により居住用不動産の需要は大幅に落ち込むと思われる。同時に借入金のある住宅に関しては家計の縮小に伴い売却案件も増加する可能性が高いのではないだろうか。
 市場が縮小することで在庫を持つリスクが発生し、場合よっては分譲会社のうちいくつかは淘汰される過去の歴史が繰り返されるかもしれない。

個人消費者にとっては雇用と家計、返済のバランスを見極めて、、市況判断を過たず判断することが重要になる節目のタイミングに入ったと思われる。
現在の「第2波到来」ともいわれるCOVID19対策の状況と企業業績の状況、双方を見ながらとなる難しい時期だ。
特に売却は不動産価格が下落する場合、もとの状況と異なり実質オーバーローン状態になる可能性があるので要注意だろう。
具体化する前に現時点での保有する不動産に関し市場価格調査などしておくことも必要だと思われる。
目先8月は大きく動く時期ではないが、米中問題など海外の状況には留意しておきたい。株式・金利など国内の状況とは異なる要因で大きく動く可能性もあるからだ。
 2~3年後どうなっているかを想像しながら判断していくことを推奨したい。当たらずとも予想することで修正しながら進むことはできると思うからだ。バブル経済崩壊時に個人的に住宅では大きな損失を抱えたことを想うと、できる限りそのようなことが無いよう手伝えたら幸いだ。

2020/07/31

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