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「超資本主義」吉本隆明

随分昔の本である。オウム真理教の一連の教団当事者はそれぞれ処刑されてしまった。サリン事件のころ、自分はまだ30代半ばで子供が二人でバタバタと追いこまれたような状況で七転八倒していて、ある意味世の中のこと全般より、半径2キロ、いやもっと狭い範囲事しか視野になかったころだ。

あのころから20年たって、古い本を引っ張り出して読んでみると、これだけ世の中がいろいろ変わっているのに、変化に対応できていないまま来ている層が社会の中枢に住み着いたままで、この国のためにはいいのか悪いのかよくわからないが、少なくとも若い人にとっては好ましくない状況が改善できていないことに気づかされた。

本書はもともとエッセー的な連載のまとめだから、吉本の「超資本主義」という概念は別にまとめたものとして把握しなくてはならないだろうと思う。
ただ、当時の自分の身の回りで起きていたことが材料になっているのでその点は卑近なものとして現状と比較して考えやすい。

したがって当時の状況を知らぬ若い人が読んでも何のことだかわからないのは、このようなエッセーや講演録の欠点であろうが、具体的世俗的であるため、同時代的な立場の読者にとって、読み返すことで、その先見的な視点が確認できたり、独断的な誤謬も明らかになった答え合わせをしながら読めるという意味ではありがたい。

そういえば ほぼ日刊イトイ新聞 で吉本の公園をストリーミングで公開していることを知った。
「吉本隆明の183講演」 投げ銭してないのでまだ見てないが。(無料だけど)

脱線しそうなので読書録にもどる。
本書で吉本は、日本は欧米とならんで、すでにエンゲル係数がどうやっても20%程度にしかならない、マルクス先生が超克しなくちゃと教えてくれた資本主義社会ではないということを自明のものとして論を進めている。

政治の事は別として、今の自分には果たしてその前提は正しい前提として情況を分析して良いかはなはだ疑問に感じられる。

吉本は東京出身、戦中派ではあるが東工大卒業のある意味都会のエリートだ。
自分は、彼がどのような「住宅」に住んでいたか全く知らない。
彼も自分の父と同じように(父は昭和8年だが工業学校卒業で就職してるから戦後間もなくのまだ食糧難のころに農家から川崎に出てきている)、戦争はとにかく反対で、飢えに対する恐怖ないし嫌悪が考えの根底にあると思えるのだがどうだろう。

ともあれ、今の若い世代(住むべき住宅を保有していない者が圧倒的に多いとイオ考えられる)が日本でも、超資本主義とされた欧米でも、その負担の大きさに押しつぶされそうになりながら頑張っているように思う。

若い世代に限らないが、親の世代がすでに住宅を保有していて、それを再利用したり、あるいは親世代からの手厚い援助があるものだけがその負担を免れているのではないかと思う。

新しい意味で消費支出をある意味抑制し、ある意味格差をもたらすものは「住宅負担係数」が今問題なのではないだろうか。
以前から感じているその考えが、本書を読むうちにより強くなってしまった。

先進資本主義国家の何とも言えない停滞感は、生存のための生産でなくなってしまったところに起因しているという隠されたテーゼは首肯できるとして、ゲームとなってしまった経済・社会の中で胎動する変化はそのあたりにあるような気がしてならない。

2018/12/12

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