藻谷浩介「里山資本主義 日本経済は『安心の原理』で動く」読んでみた

いつも通り100円になった新書本

「デフレの正体」でもいろいろ物議を醸した藻谷氏の書でNHKがくっついてる。
思うに映像による問題提起型の番組としては「絵」になるのだろう。

興味深かったのは木材の利用に関してだ。

以前、やはりNHKにサイエンスゼロで取り上げていたバイオコークスとは違って比較的、そのままチップ化して使うということ。当然熱量は限定的であろうことは自分にも想像できる。
小さな人口単位で暖房や場合のよっては発電などに利用することは可能なのだろう。
バイオコークスの場合その名のとおりコークスとして利用可能な水準に近付いているようで、おそらく一定の規模以上の場合の発電などに利用する場合はこちらの技術のほうが有望なように思った。

藻谷氏は国際的な競争力も里山で自給自足できるような、地方のバックアップがあってこそ(これを『安心』と言ってるのだと思うが)育むことができると書いているように思うが、そこは少し疑問だ。

かといってちらっと見かけた山本隆三氏の批判もためにするためのものであるように思う。

そもそも、都市で生まれ育った私としては田舎ぐらしのための「ストック=土地や家屋」あるいは「農耕や狩猟の技術=訓練が必要」も何もない。
知己の人間で朱たる職業ではなく農業を行っている者も狩猟を行っている者も、都市部に土地資産を保有して私から見たらかなり余裕のある人物だ。

父方の実家も母方の実家も地方の農家でそれこそ田畑はそれなりにあるし自家消費する分の食糧以上に生産しているが、専業ではない。いや専業ではやっていけないのだと思う。
食・住は何とかなっているから都市部であくせく働くものよりは気持ちの上では余裕があるかもしれないが、農業だけでは教育・文化その他の支出を賄えていない、あるいは現金がなければ生活するうえでとても不便になる、そういう状況ではなかろうか?

藻谷氏の言わんとすることもわからないではないが、氏も書いているように日本中の人々が里山資本主義的に生きることはできないだろう。

つまり普遍的な経済に対する処方箋ではなく、縮小する地方に対する処方箋としてみれば、一つの解答としてはありうる形なのだろう。しかし、それが今の日本にどれほど有用かは疑問だ。

むしろ、不均衡に資金を配分し続けてきた地方をある意味「切り捨て」してコンパクトにすること、また一向に改善されない土地課税の不均衡の是正(都市部の土地資産の保有コストは昨今の不動産投資ブームを見ればどれだけ低いか一目瞭然だと思う)が優先ではないか。

里山資本主義が可能なのも、代々山や田畑を継承してきたものであって都市部で2次産業3次産業に従事するもので土地資産を継承していないものから見れば高根の花だでしかない。

自分なりに里山資本主義を広めるとすれば、都市部の税金を地方に配分するなどということはすぐにでもやめて、それぞれの地域でできることをやることを提唱したい。
工夫の足りない地域はどんどん人口流出していくだろうが仕方がない。

人口が減るということはそういうことではないか。藻谷氏のいう里山資本主義で暮らしていく人はそれでいいのだろうから電気も郵便も水道もネットも放送もある程度自力でやってもらいたい。
自分の食い扶持以上に働くものがいてこそ、大きな共同体が回っているのではないか。そこから逃げ出すことが正しいのか。

妙にイライラさせられる内容の本であった。
読み物としてはなかなか面白いが経済に対する処方箋を出そうとしていたなら的外れな気がする。
もう少し時がたてば状況も変わっているかもしれないが。

2018-07-10

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