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『異次元緩和-10年間の全記録』 西野智彦

アイキャッチ著者画像は日本記者クラブの受賞会見の際のものです。

「2%の物価安定」と耳にこびりつくほど言われ続けていた時期は遠くなってきたかもしれない。10年ひと昔でいえば昔の話だ。
2012年の安倍氏の発言も耳に残っている。
「輪転機をぐるぐる回して、日本銀行に無制限にお札を刷ってもらう」
リーマンショックの後、何とかしのいでいた企業が万歳して死屍累々になっていたころかなと思い出す。新卒の学生はまだ就職苦労していたかな。
僕の勤め先もお馬鹿な人がいて、仲介でやってはいけない固定費の増大でにっちもさっちもいかなくなって、全員解雇とか言い出した年である。お馬鹿はどこにもいるが一国のリーダーたる人がお馬鹿だと困るなと思ったのを思い出す。

本書はソーリの話ではなく、ソーサイの方の話である。
誰がやるんだよ?的な部分は裏方というか猿回しの親方がきちんといてサルは芸をするということが詳細に書いてあると感じた。経済やら役所の詳細に疎い僕の人生なのではあるが、結局組織の中である一定水準以上のポジションは「好き嫌い」で決まると思っているので、ストーリーに間違いはないとして読んだとして、一度ほぼ終わった人物に与えられたミッションが相当に名誉的に大きなものである場合、こうなる可能性があるという視点についてはなかったように思われ、少し訝しく感じたりしている。

バブル経済崩壊後、いろいろあってヘイゾーやらジュンイチローやらがホウレンソウの値段も知らずに、手術して大出血が止まったように見えたあと、なんで政権ができもしないところに転がり込んだか、そして何がだめだったのかの検証もないままに、東北の大震災での対応のまずさみたいに片付けられていたころ、件の輪転機グルグルで帰ってきた、お坊ちゃん。
そこに、いったん終わったはずの役人人生から帰ってきた黒田マンだったのだ。

とにかく在任中にやったことは結果はこれだ。

COVID19の影響での世界が足並みそろえて財政出動したというのもあるが、戻れないような状況になってしまっているのは日本だけかもしれない。このまま順調(?)に推移したと仮定すると、先般はこの二人になるのかもしれない。

世界一の債権国としてたやすく落ちぶれていくとも思わないが、もういい加減にしないといけない時期をとうに過ぎるまで、老人の妄執で来てしまった感はある。忖度以上に任命権者への阿りと言っていいかもしれない、在任中に亡くなってしまったということも影響してるのかな。
そのあたりは植野新総裁の選出の過程でもう少し内容があったらより興味ひれたかもしれない。
とはいえなんで「植野氏」というところはそういうことかも…という面白みはあった。
失敗を恐れてはいけないが、失敗したときの出口は準備してから、そして失敗ですと評価して作戦を見直す参謀がきちんとおらんと、年寄り、特に一度終わった年寄りは御しがたいということかな。

自戒の念をもって(僕が自戒しても世の中に何の影響もないけれど)年取っていかねばと思う本でありました。

☆3

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