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陰謀論とは何か?ということを考えていて、本書にたまたま行き当たった。
僕から見たら若い方で、どんな人かと思ってみたら息子の方に近いなぁという印象。
いつまでも自分は若くないのに先人に対してはなんとなく畏敬の念をもって、後進に対しては斜に構えてしまうななどと思いながら読んだ。
自分の暮らしの中で、いろいろな人と接触せざるを得ないのだが、物事の見方・考え方も様々で、対応するのに少々武装していないと危ないかなと感じている。
個々の考え方はそれこそ自由でかまわないと思っているし、むしろ同じような考え方の人より学ぶところも多いが、どうも最近多くの人がYouTubeなどのの動画がソースになっているようで、デジタルデバイド前の人間としては、そのソースに対して違和感があるのだ。
営業の仕事だから、ユーザーと対面して詰めていくのが一番ということ実感している。相手の目線やしぐさなど自分が意識しているかどうかは関係せず、その場の力というものはある。
言葉だけではなく五感を通じたコミュニケーションの力はあると思っている。何らかの合意を得ようとするとき対面で同じ場所にいるということはとても大切だ。
賢い人がやっている外交でもわざわざ飛行機乗って時差を超えて直接会うことが大事なことからも、おそらく間違いはない。
動画のもつ力はおそらく対面の次くらいになるのだろう。少なくとも書籍やその他の文章で読むことより、説得力があると思う。文章を読むというのは自発的に動かないといけないし、直感的にわかるというよりは、かみ砕いて少々批判的なことなども念頭に置きながら進むので、対面や動画視聴とはかなり異なり、説得力という点では相当に劣るだろう。
前置き長くなったが、要はジジイなので主として動画やネットの情報で形成されていると思われる、様々な人の考え方の形成プロセスに疑問もっているということだ。
本書では陰謀論の定義から始まって、その受容のされ方を統計的に検討している。
まとめとしては、自分の知見がすべてではないことを自覚することが重要であるということで結んでして、各種の陰謀論の内容については触れていない。
ある意味僕が知りたいと思っていた内容が的確にまとめられていたと感じる。
他人様の政治的な信条や規範についてとやかく言う筋合いはないが、なぜそう思うのかが理解できないと対処のしようがないと感じていたからだ。
右から左までの陰謀論の受容のされ方・あるいは形成のされ方を学術書ではなく新書として、僕のような人間にもある程度理解できるようにまとめてくれているのはよかった。
蛇足ながらあとがきがほほえましかった。どうでもいいけど。
☆4