「『人新生』の資本論」 斎藤幸平

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例によってなんで読もうと思ったか不明。著者はなんとなくどこかで見たことあるよなぁ知らんけど、という程度の認識であります。2021年新書大賞とのこと、新書はいいよね手軽で好きです。

東大理科2類入学三か月でウェズリアン大学に進学ということで東大はまあステップとして踏んだという意味で理科2類にしたのは似たようなことした子を知っているので個人的にわかりみ感じる。
最近ヒトが地球に与える影響がでかくなって「人新生」という言葉が使われるようになったようだが、まだ全員化石になったわけでもないのに気が早いななどと思っている。現在進行形の出来事に命名するのはおこがましくねえか?
まあそれはさておき、マルクスである。
どうもマルキストというか文献分析家のようなものであろうか。産業革命の時代の理論を、草稿やら手紙やらで補完してその意味を再構築して現代を考察して未来への指針を示す、みたい内容だと理解した。

「欲望の資本主義」 など「資本主義」が壁にぶち当たっていて、どうもうまくいかねえんじゃねえか?と考えられている流れのひとつなんかなと思って読み始める。丸山俊一氏あたりが僕とは同世代で、本書著者である斎藤幸平氏は僕から見ると子供の世代に近い。
世代的に言えば70年安保に間に合わなかった世代と、バブル経済に間に合わなかった世代だななどと思う。

本書で取り上げるマルクスの遺稿とか草稿は全く読んだこともないので、著者の読み下しにしたがって理解するしかない。その中に資本主義が地球の状態をも変化させていく現状の打開策が秘められているとしたら素敵なことではあります。
「コモン」の概念の否定が資本主義、その否定が共産主義。共産主義はマルクスの考えの習慣段階をレーニンがまとめてとりあえず国家にはなったが、失敗ししまった。そうではない新たな共産主義があるはず、チルチルミチルみたいなことに最後はなっとるなという印象。

親ガチャなどという言葉が普通に使われる「私有」が前提条件になっている世の中に投げ出されて、もしかしたら喜びのも何もないお仕事している我々をスクイタマエ。
経済成長のない恒常的な世の中というものを適宜した時、最も幸福であるかもしれないが80億人の同意をどうやって取り付けるのだろうか。一人プーさんみたいなものが出現すればおしまいではないか。

途中まではよかったんだけどね。最後はファンタジーで実行レベルで何するの?と突っ込みたくなるかな。もし実践編ができて著者の言う他のルートと異なるものを示せるのか。
そして著者はそれを望んでいるのか。
資本主義がやがて独占というのは既知のことでそこには不平等が前提として埋め込まれている。
どのように対処していくのか生暖かく見守りましょう。

☆2

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