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「日米戦争を起こしたのは誰か」 藤井厳喜・稲村公望・茂木弘道

  勉誠出版  藤井厳喜・稲村公望・茂木弘道著 


amazon より

SNSをやっていると、なんだかんだと広告が入ってくる本である。
謳い文句だけ眺めていると、陰謀論のような切り口の入り方なのだが、事実として読んでみないとわからないということで図書館に予約してあって忘れたころにようやく読むことができた。

この本の出版当時まだ翻訳が出ていなかったフーバーの回顧録の要約が繰り返される内容だった。
既に翻訳が出版されているのでこちらも図書館で予約中。ままた忘れたころに借りられるのだろう。(面白いのは上下巻のうち上巻と下巻の予約数が3倍違うということ、こういう本は上下セットで貸し出しすべきと思います)


草思社サイトより

実際フーバーの回顧録を読まないと彼の記憶と主張はわからないのだが、今回のやや斜に構えた書名から推定できるとおり、著者陣は日米間の先の戦争は、日本が起こしたのではなくアメリカ、それもルーズベルト大統領が、「狂人」のようにのぞんで引き起こしたと、フーバーは回顧録に記しているとまとめている。

フーバーは回顧録の中で、ルーズベルトが共産主義(本書の中で意図的かどうかはわからないがスターリンと同一視したりしなかったり)にシンパシーを抱いていて、結果的に自由の国アメリカの国益を大戦前も後も大きく毀損し、また、アメリカのステートマンシップに悖る、原爆投下を含む行為・判断・協議、を戦前の日米協議から戦中の各国との間で行ったと主張しているらしい。

実際にフーバーの回顧録を読んでみないとわからないことも多そうだが、時系列的に押えておかないといけないと思われる内容が、本書ではあえてあまり触れないようにまとめられているのが気になった。

フーバーが大統領になったときのアメリカは、第一次大戦のあとの好景気から急転直下大恐慌の時期だ。再選されなかったのは恐慌を乗り越えることができないと国民に判断されたからなのだろう。
対して、ルーズベルトは誰もが学校で習うニューディール政策の大統領、自由の国アメリカに社会主義的な経済政策を持ち込んで恐慌を超克しようとした人物だ。

自分は詳しくないが、ニューディール政策はどうもうまくいかなかったらしい。
日本でも景気対策で道路作ったりダム作ってもそれで景気が良くなったというのはもはや古典的勘違いになっていると思う。
政府が有効需要を創出するということはおそらく幻想でしかなく、それは今も昔も同じなのだ。

人類が最もエネルギーを消費し大量の需要を創出するものは、人口の増加と、その逆の殺し合い=戦争だ。
ルーズベルトが何を考えていたかはよくわからないが、自由な資本主義がバブル経済となり社会全体が落ち込んだ時に、まずは社会主義的な施策に傾倒し、さらに大きな需要を生み出す戦争に向かったのではないか、本書を読むとそんな考えになる。

だがそれはアメリカの中での話で、日米開戦に至る片面でしかないだろう。
日本も同様に大正デモクラシー、第一次大戦の生み出した需要による好景気から一気に不景気になった国内事情があり、朝鮮満州に、一つは新市場としての需要を求め、他には食糧事情からみて過剰な人口を受け入れる国土(農地)として進出(国内的にはたぶん進出だが、当時のルール的には問題なくても今でいえば侵略だ)していった経緯がある。

遅れてきた帝国主義国として、日米どちらも中国大陸は手中に納めたかったのが実態ではないのか。
日本は戦争は望んでいなかったといっても、アメリカとの戦争であって大陸での戦争は必然と考えていなかったとは言えまい。

最近いろいろキュレーションサイトがあって、情報収集には便利だが半面事実と異なる内容もあったり、本来必要な補助線がひいてなかったりする。
本書の読後感もまさにそれだ。
アメリカにおいても、日米開戦は間違いであった、あるいは東京裁判的歴史観は修正する必要があるという考え方がある。しかしながらそうではなく、それは正しかったし改める必要のない事実とする考え方もある。そのように両論併記での紹介になっていれば、もう少し読みでのある内容になったはず。

結果的に自らの主張したい内容に沿った資料を、我田引水している印象となってしまっているのはもったいないことだ。

  2019/03/11


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