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「みんな大好き陰謀論」内藤陽介

ビジネス社

Twitter社がイーロンマスクによって買収されて、なんだかざわざわしてる今日この頃であります。
GAFAMとは別な世界ではあるがそれなりに世界的な規模なのかと思っていたら、どうもさほどでもなく、また社内の雰囲気も微妙でかつ経営的にはどうしようもないという風評であります。
ビジネスとして成立するかどうかはマスク氏の手腕にかかっているのだろうなと思いつつ、日本が主要なマーケットであるというのは、こうした短文に関して長い歴史を持つ国だろうかなどと感慨深いものがあります。
何しろ国家の歌詞は多分世界一短い(知らんけど)、行間を読まないといけない国であります。

今回、少しユダヤ陰謀論に傾いている知人がいたので、適当に選んで読んでみた。
著者がユニークで郵便学(?)の人だそうだ。東大文学部から郵便学の世界に踏み込むのもなかなか味の深い人生を送っておられるだろう。

本書には郵便の話はほぼ出てこない。
何か話していて、「いやそれはユダヤだから云々」いわれる前に読んでおくにはちょうどいい。
本当のところは僕にはわからないが、少なくともユダヤ陰謀論に関しての基礎知識はきちんと頭に入る。
日本で生まれて普通に暮らしていてキリスト教に触れるのはクリスマス程度の人生で、ユダヤ教とキリスト教の関係なんぞ理解できるはずもないし、それぞれの視線や欧州での歴史なんぞ知ったことじゃないのだ。

著者の博識ぶりが伝わってきたと思ったのは浅学の身なればこそかもしれないが、文体自体は平易で読みやすい。
陰謀論は構図は単純で腑に落ちることがある意味容易な内容であることが多い。社会人となって頑張っている人のうち若いときに濫読あっても幅広く知識を吸収する機会を得られなかった人がその陥穽にはまっているような気がしてる。
世の中の大して役に立たない基礎知識(僕にとっての微分積分)の量が足りてない気がする場合に、単純明快であるがゆえに我が意を得たりという気分になるのだろう。

本書は決してそうした陰謀論にはまる人を揶揄するものでもなく、陰謀論の(主としてユダヤ陰謀論だが)歴史的経緯を叙述している点がいいのではないかと思う。
ただし、博識すぎて途中に註は挿入しているものの、僕のような一般人は知らない人物のことも頻出する。
タイトルの引力からすると、もう少し丁寧な内容にしてくれればなおよいのではないかと思った。

少し調べたら出版のビジネス社は河出から船井そして現在の経営に変遷してきたようだ。
船井氏のものも現在も出版しているらしい。
なんだか不思議な話ではある。

☆3

※アイキャッチは著者:内藤陽介氏のツイッター(@naito_yosuke)のプロフィールです。


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