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金融が乗っ取る世界経済   ロナルド・ドーア

経済の本はリアルタイムで読むべきなのか、結果が出てから読むべきなのか。
おそらく両方なのだろうけれど、そこまでの時間と資力と(視力も)、保管しておくスペースもないので今頃リーマン後の本を読んでいる。

周回遅れもいいところのはずなのだが、読んでみると現在進行形の問題であることが理解できる。
著者が随分と長い時間が出版までにかかったと述べているが、ベクトルは時間の経過が無ければ向きはわからないということかもしれない。

最近のインターネットビジネス、中でもGAFAによる情報の独占や暗号通貨についての言及はない。
10年前には慧眼な著者でさえ予想もできない状況になっているともいえるが、むしろ本書でいう株主=資本(と僕は読んだがどうだろうか)があらゆる情勢で自己増殖のために蠢動することの延長と考えると腑に落ちるものがある。


実態の何十倍ものギャンブルが実体経済を人質に世界中を駆け回っており、そのギャンブルに飛び込める人とギャンブルの胴元に従事することができた人と実体経済で地べたに足を付けてしか動けない人で格差が累乗的に拡大している。
若い人が意外に投資を始めている。僕らの業界不動産業という最も保守的ともいえる世界にFIREとか訳の分からん事言って飛び込んでくる持たざる人たちもふえた。
金利が低いから?そうではないだろう。実態と金融が乖離していて金融の世界で起こっていることは実体経済で起きることの何倍も速度も規模も大きくなっており、同じ限られた時間に縛られているなかで成功(人より金を儲けることをそう呼ぶならば)するときに時間にレバーかけられる方になびくのは自然だ。

僕は隣の大国のような独裁は嫌いだが、おそらく著者が日本や少し前のドイツで見られたような、企業は株主「だけ」の器ではないという感覚を、もしかすると、かの国指導者は自分たちこそ正しいと思って、新自由主義的な世界を滑稽なものとしてとらえているのではないか、そしてその部分に関してはSDGsとかわめいている自由主義陣営の無様なさまはそうであるかもしれないと感じる。



リーマン後も崩壊したように見えた夢の中の金融の話は、相も変わらずあたかも工学的技術の問題のようにのさばり続けている。
この状況を所与のものとしていかに勝ち残るか戦うのも生き方だし、夢の続きをどこかでイマジンするのも生き方だ。
現状を所与のものとして戦うには少し年を食ってしまったし、荒廃した世界を見たくもないし自分の子供やその他あとから来る人たちに残していくのもいかがなものかとも思う。


我が身さえ富貴なればのすさまじさ何をいまさら人の事。


2021/06/23

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