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「マオの肖像―毛沢東切手で読み解く現代中国」 内藤陽介

雄山閣

アイキャッチは著者Twitterでの固定ツイート 内藤総研の案内からお借りしてます。
カバー奥に出版時の著者近影あり若いなぁ。

現在ベストセラーになっている「今日も世界は迷走中 – 国際問題のまともな読み方 」を購入するか思案中ではあるが(本は買わないと決めているので)先日読んだ「チェ・ゲバラとキューバ革命」での切手を通じて考証あるスタイルが興味深くて、初期の本を読んでみた。毛沢東に関しては大森実の「毛沢東」が寝床の本棚にある程度。

このころすでに方法論的なものは確立していたのだなと感心させられた。切手・郵便資料を時代のアイコンとして、過去の事実を深堀りし、推理する(考察というべきか)手法は、いいか悪いかは見解が分かれるところもあるだろうが面白い。

切手に描かれる肖像の帽子の有無と、毛の権力掌握と軍の関係の考察は秀逸といっていいのではないだろうか。描かれる人物の序列・配置・組み合わせなどからの考察、特に林彪に関しては読みごたえがあったと思う。

書籍としては郵便資料に基づき、膨大な知識と資料収集による著者の見解を述べたもので、近代史研究とは異なるようにも思う面もあるが、メインストリーム以外のところから追って行ったら真実に近ずいているかもしれないという推理ドラマのような面白さを感じる。

おそらく著者は丹念に調べているのだろうが、そんな飛躍もあるのか・・・?と思うところもあって本書に脚注をもうけたスタイルにして、日本書紀ではないが「一書に曰く」などというのもあったらどうなんだろうなどとも思われた。

本書に比較して後年の「チェ・ゲバラとキューバ革命」のボリュームは断然大きいのは、手法の深化か、著者の性格なのか進歩なのか数倍はあったように思う。意外にさっくり読了してしまった。

慣れてくると何でも多面的に見ることが少なくなってくるが注意しないといけないなという本でありました。

☆3

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