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「平成経済 衰退の本質」 金子勝

アイキャッチの著者の写真は慶應義塾大学経済学部大学院経済学研究科掲載のものです。

僕の新書本答え合わせ100円読書としてはとても新しい本であります。2019年初版第1刷、三か月で第6刷になってるので割と読まれた感じです。
ちょうど令和が始まるところで平成の経済を総括するってのは内容というよりタイトルが良かったかななどとも思ったりして岩波でもそうなのかなどと関係ないこと考えたりする下賤者です。

著者はTVで見たことあるなぁという程度しか知りませんでした。Wikiによれば東大出身でマル経の人でありモーニング娘のファンのようであります。何が好きでも構わんのですがモーニング娘もAKB48もよくわかってな自分から見ると向学心旺盛な人と思われます。今71だってのにすごいね。

そんなことはともかく。

本書では資本主義経済の変容についての分析ががまず前提として、ブレトンウッズ体制からの変遷ということで手短にまとめられている点は頭に入りやすい。マル経の人と思って読んでいかないといけないとは思ったが。
実際、第二次大戦以降の経済は基軸通貨としてのアメリカドル及びアメリカ経済の動向(アメリカの都合といっていいと思うが)の変化により制度が変化し、その中でもアメリカドルが優勢であるための、外交や圧力、場合によっては軍事力により左右されてきているとは思うので、このあたりはすっと入ってくる。
また、日本経済がその変化・・・金本位制から紙幣本位制に伴う変化に対して、鈍感でありどうなるのかという予想も対応も十分でなかったために、バブル経済とその崩壊、そしてその後失われた30年の原因となったとの見方だと思うが多分同意できる。
僕は、ニクソンショックの時は10歳で、プラザ合意の時は23歳なので俺たちのせいではないと思うが、失われた30年の対価はたっぷりと払わされてきたと思ってるからね。

平成末期からのアベノミクスに対しては当然批判的というかボロクソに評価してるのはまあそうだよねって感じ。あの人は何を考えて「輪転機をグルグル回して無制限にお札を刷る」「建設国債を日銀に全部買ってもらう」と言ったのかよくわからないのだけれど。バカだということだけは瞬時に分かったものな。普通に考えて需要が低迷して先行きの人口減少もあり増加の見込みが内需では厳しいことが原因であって流動性の増加は結果だよとか思った。

東大成蹊学習院法政東大優秀なんだろうけどねえ結果は無惨

国際競争力があって輸出する大企業の法人税などをずんずん減らして、内需の主体である家計から消費税ずんずん増やせばどうなるか、また、流動性を無理やり国債発行により増加させれば通貨安になり、原料食糧輸入する日本は物価高になるだろうということ僕くらいの経済音痴でも予想する。
安倍氏は不幸にして殺害されてしまったけれど、生きていれば万死に値するとか言いたいくらいではある。

脱線しそう。
本書では処方箋として、第一に公正なルール、第二に教育機会の均等を上げている、そのあとにもいくつか出してるけど各論のニュアンスである。
つまりゆがんだ政策により日本では比較的当たりだったオール中流が崩壊して、格差拡大を抑制すべしてことなんだと思った。

それはそうなんだよ。
ここまで来てしまうと現状でいいと思う層が、長年月にわたる状況に適応して生まれてきてしまっている。そこに手を突っ込むというのは大変なんだけれど、そこができないと先はないだろうと思う。
増税クソメガネとか言われている人も気の毒だが、この際30年間違えてきたの方向性を替えられるのもしかすると、無能な人のやけっぱちから生まれるかもしれない。

本書を読んで多少留飲は下がるがあとは自分で考えるしかない。特に昨年・今年と世界大戦になりかねない対立が起こっており、冒頭にあるアメリカドルの物語が進行していっているのだと思う。
僕たちの知っているアメリカは公正じゃないとか臆病といわれるのが一番嫌いな国なんだけど、どうやらそうでもなくなっているようだし。

☆2

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