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「今日も世界は迷走中 – 国際問題のまともな読み方」内藤 陽介

アイキャッチは著者のX(旧ツイッター)のプロフィールです。

ワニブックス

これもまた陰謀論周辺の知識を求めての読書であります。
著者・内藤陽介氏の著作は3冊目くらいで、なんとなく立ち位置が理解できたような気がする。
基本保守的な考え方で、社会主義的な考え方に対しては是々非々、グローバリズム的な動きに関しても同様、東京生まれのようで、育ちのいいひとなんだろうなという見立てである。違ってたらごめんなさい。
おそらく、都会育ちで比較的裕福な家庭で育った(東京で平均以上というのは日本全体では当然いろいろな意味で平均をはるかに超えた水準の知的生活だと僕は思っている)常識的な人物がどのように物事をとらえるのかという点で興味深い。本書とは直接関係しないけど。
郵便学者と自称されているのだが、他で郵便学を聞かない。
それはともかく郵便にまつわる事物から様々考察を広げるというのは独自のスタイルで興味深い。

「陰謀論」についての考察はほぼない。陰謀の有無についてはあえて触れなかったという内容である。
おそらく一定の人々の間で一定の意向を持った動きはあることは前提として否定できないし、それを陰謀とみるかどうかについては疑問があるとの向かい合い方なのだと認識した。
ディープステートの存在を信じる人々によるアメリカ議会襲撃、ドイツのクーデター騒動など、それが陰謀であると信じる人たちの動きを分析することで、陰謀という見方には否定的なのだろう。
なんでも隠した目的があるといっても、行動に表れている以上隠し通すことなど無理だし、逆にその程度のことを陰謀と呼んで反対の行動を起こす、扇動する方がよほど陰謀的であろう。

世界のいろいろな国や地域にそれぞれの歴史や文化があり、微視的に観察して理解することなしに、相互の関係性は理解できない。郵便学なるものを理解しているものではないが、切手やカバーシート・スタンプの考察から世界情勢の分析までいくつくのは大変だ。
著者の態度で好感が持てるのは、多分この点にかかっている。たとえは悪いが鑑識の人が推理して事件を解決していくTVドラマがあったがそんな感じなのである。

保守的な一面が最終章で出てきた感はあった。日本のために何ができるかとまじめに考えているのだ。
ネットで見るたび和服で出てくるのもそんなところか。

自分の周辺には地方出身でキャッチセールスから会社起こした人間だとか、塀の上を何とか中に落ちずに来た人間もいるし、高名な経営者や大学の先生も付き合いはほぼないが同級生に結構いたりする。
考え方のギャップはかなり大きい。前者が本書のような著作出版に至ることはあまりないのだろうが、世の中実際に動かしているのは彼らのような気もしている。
必要な変革は何かを考えさせられるという思わぬ結果になった本でありました。

☆3

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